斉藤守彦が書いた、映画の本
1
80年代を彩った「南極物語」「E.T.」「レインマン」、そしてスタジオジブリの初期作品「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「魔女の宅急便」などは、どのような戦略で世に出たのか。どのような宣伝が行われたか。
【about this book】
「80年代映画館物語」
このタイトルからして、バブルまっただ中の80年代。華やかで楽しかったあの時代の映画を振り返る…と思われそうですが、本書はあの時代の「映画と映画館」について語ったものです。
本書のポイントは5つあります。
2
大スクリーンに1000席以上の座席数を持った映画館が姿を消し、変わって巨大なビルの中に複数のスクリーンを持つ映画館が登場し始めたこの時代。
その背景と真相。
3
大劇場と入れ替わるように出現した、座席数200席前後のミニシアターとはいかなる経緯で誕生し、増殖していったのか。
4
80年代を代表する傑作「ストリート・オブ・ファイヤー」「ある日どこかで」は公開当時、なぜヒットしなかったのか。
5
外からは分かりづらい、映画館のビジネス構造はどうなっているのか。
-
以上5つのポイントについて、当時の映画興行・配給状況を知る関係者に直接取材を行い、現在の視点で語っていただきました。これまでの定説を覆す新事実も少なくなく、こうした証言とエピソードを通して「世界中の映画が見られた」80年代の映画世界に思いを馳せ、またディープに検証しようというのが、本書の目的です。
-
そして最終章にあたる第22章には94ページを費やして、80年代10年間における、東京都内主要映画館の番組表を一挙掲載。どの映画館で、どのような作品を、どのようなスケジュール
-
で上映していたかを一望しようというこの試みに対して、多くの驚嘆の声が寄せられています。
Index
●まえがき
●第1章 「地獄の黙示録」1980年2月16日。有楽座が戦場になった日
●第2章 映画館の支配人は、何を「支配」しているのか?
●第3章 番組編成担当者は、今夜も眠れない
●コラム1 80年台映画館・裏エピソード①同じ映画館でアルバイトした男女の
結婚比率は、意外に高い
●第4章 テアトル東京は、なぜ閉館したのか?/80年代映画館変遷史①
●第5章 シネマスクエアとうきゅうオープニング・エピソード/80年代映画館変遷史②
●第6章 「ある日どこかで」物語
●第7章 「E.T.」の歴史的大ヒットを支えた人たち
●第8章 80年代におけるヒット作の条件
●第9章 セゾングループの映画界進出/80年代映画館変遷史③
●第10章 「映画館に行かなければ会えなかった」角川三人娘
●第11章 「南極物語」大作戦
●第12章 有楽座、日比谷映画劇場から有楽町マリオンへ/80年代映画館変遷史④
●第13章 ジブリ作品が大ヒットを始めたのは、製作VS宣伝のせめぎ合いがあったからだ
●第14章 「ストリート・オブ・ファイヤー」伝説
●コラム2 80年代映画館・裏エピソード②映画館で映画を見ながら喫煙や脱糞をしては
ならない
●第15章 ミニシアター・ウォーズ/80年代映画館変遷史⑤
●第16章 妥協と栄光の、ツナギ番組
●第17章 ビデオのおかげで陽の目を見た映画たち
●第18章 ギャガの胎動
●第19章 テレビ局映画とタマ興行と異業種監督…バブル時代の日本映画
●コラム3 映画館/興行用語エンサイクロペディア・初級編
●第20章 「レインマン」アカデミー賞で2度稼ぐ方法
●第21章 「全米大ヒット!!」が巷に溢れた80年代映画惹句の傾向
●第22章 80年代都内主要映画館番組表
●あとがき